鍼灸

鍼灸では、鍼とお灸をつかって施術を行います。
鍼やお灸の刺激でどんな反応が身体で起こっているか、メカニズムと施術の特徴をご紹介します。

 

【鍼灸とは】

鍼灸は、古い歴史のある施術方法で、東洋医学にもとづいたものです。
西洋医学では、薬や手術で症状へ直接アプローチしますが、東洋医学では、身体の内側のバランスを整えて、根本から症状の解消を目指します。

鍼施術により身体に刺激を入れ、小さな傷をつけ、それを改善しようとする自然治癒力を利用しています。
そのため、手技では届かない身体の深部までアプローチすることができ、身体の内側からバランスを整える施術です。

また、鍼施術では電気を流すこともあり、電気刺激を加えることで深部の軟部組織が収縮することで血行改善が見込めます。

 

【鍼灸の施術方法】

気血の通り道は「経路」と呼ばれ、その各所に「経穴（ツボ）」が存在します。
鍼灸の施術は、経路や経穴を刺激し、気血を流して身体のバランスを整えていくというものです。
そして、鍼やお灸でアプローチする際には、「補法」と「瀉法」をもとに行います。

補法とは、エネルギー不足の身体にエネルギーを入れることです。
瀉法は、熱を持っているとエネルギーが過剰になっていると考え、除去することです。
補う方法と除去する方法の2種類を使いわけ、身体のバランスを整えます。

 

【鍼灸の保険施術】

鍼灸の施術は一部保険が適用されます。
保険対象になる施術は、次のとおりです。

・各種神経痛
・五十肩
・リウマチ
・腰痛症
・頚肩腕症候群
・頚椎捻挫後遺症

保険施術を行うには、医師の同意書が必要になります。
当院には、同意書のフォーマットが用意してあるため、提携している病院や通院先の病院で医師に記載してもらってください。

同意書の有効期限は6ヶ月です。
保険施術の対象症状や内容は自治体によって変わりますので、ご注意ください。
美容鍼は保険施術対象外です。

鍼灸の施術では、それぞれ複数の機材をつかってアプローチをします。
患者様のご希望や症状、ライフスタイルにあった施術方法を選ぶことができます。

 

【鍼施術の使用機材】

鍼施術では、身体にある経穴や経絡に鍼を打っていきます。
鍼は、ディスポ鍼と置き鍼から選んでいただけます。

●ディスポ鍼

鍼施術では、先端が丸くて非常に細い鍼を使用します。
ディスポ鍼と呼ばれる使い捨ての鍼は、髪の毛よりも細いため痛みはほとんど感じません。
そして、衛生面における安全性の高さが期待できます。

●置き鍼（パイオネックス）

鍼の施術が苦手な方は、置き鍼がおすすめです。
置き鍼は、鍼を非常に短くしたもので、浅く刺した状態でテープ固定します。
貼った状態のまま生活することもでき、お忙しい方にも最適とされています。

 

【お灸の使用機材】

鍼が苦手な方は、お灸を使用する場合があります。
また、自律神経症状のような身体を温めながらアプローチしたほうがよい場合には、鍼とお灸を併用します。

お灸は、皮膚の上にお灸を置き、熱刺激を身体へ与える方法です。
せんねん灸と点灸の2種類からお選びいただけます。

●せんねん灸

せんねん灸は、間接灸と呼ばれるお灸の方法のひとつです。
艾（もぐさ）と皮膚との間に台座を挟み、直接皮膚には乗せません。
そのため、熱刺激が皮膚へ直接伝わらずに、やけどの心配も少ないため安心です。

●点灸

点灸は、艾を直接肌の上に乗せ、燃焼させる方法です。
燃焼によって皮膚から温熱刺激を与え、ツボへアプローチします。
艾の細さを変え、熱の入れる具合を調整しながら施術を行います。

鍼灸の施術では、皮膚の上から鍼や熱の刺激を与えることで、さまざまな効果が期待できます。
鍼灸の施術で期待できる効果についてご紹介しています。

 

【鍼灸で期待できる効果】

●筋緊張の緩和

筋肉は負担がかかると緊張し、硬くなります。
筋緊張が起こると、腰痛や肩こりなどの慢性痛が生じるだけではなく、硬くなった筋肉が血管や神経を圧迫してさまざまな不調症状を引き起こす可能性があります。

鍼灸では、鍼やお灸で筋肉に刺激を与えるため、筋肉の緊張の緩和が期待できます。
筋緊張が緩和されれば、筋緊張が原因で生じていた不調症状の緩和・改善にもつながります。

●神経症状の緩和

自律神経は、身体のあらゆる循環器をコントロールしており、自律神経が乱れると、さまざまな不調が生じる場合があります。
鍼灸の施術では、気血の流れを促すことで、自律神経を整える効果が期待できます。
自律神経が整うと、頭痛やめまい、耳鳴り、イライラ、不安、不眠などの神経症状の緩和も見込めます。

●身体の疲れの改善

気血が滞ると、身体の疲れがなかなか取れず、疲労感も継続する傾向にあります。
鍼灸は、エネルギーが不足している部分にはエネルギーを加え、過剰になっている部分は除去することで、身体のバランスを取り戻そうとします。

また、血液を循環させれば、身体に栄養が行き渡り、回復力を高めることも期待できます。
これらの相乗効果により、身体の疲れが改善されると考えられます。

●除痛の効果

鍼灸施術では、痛みを脳に伝える神経通路をブロックするような効果があるといわれています。
そのため、痛みのある部分に対して施術を行うことで、痛みを除くことが期待できます。

●血流促進

鍼灸では、鍼や熱刺激を与えることで、血流の促進が見込めます。
血流が悪くなると、冷えやむくみが生じるだけではなく、内臓機能の低下にもつながります。
そのため、鍼灸で血流が促進されると、冷え・むくみの改善や内臓機能の向上が期待できます。

鍼灸では、血流改善や筋緊張の緩和など、多くの効果があるため、改善が期待できる症状もさまざまあります。
具体的にどのような症状の改善が期待できるのか、ご紹介します。

 

【鍼で改善が期待できる症状】

●ぎっくり腰

ぎっくり腰を発症すると、数日間は強い痛みが続くといわれています。
鍼の施術で、痛みを伝える神経をブロックし、痛みの緩和を図ります。

また、回復に向かっている時期には、筋肉へ鍼の刺激を与えて、拘縮した筋肉をほぐします。
筋肉がほぐれると、腰の動かしやすさにもつながります。

●寝違え

寝違えは、痛みで首が一定方向にしか動かせない状態になることがあります。
鍼では、痛みの神経をブロックし、筋肉をほぐして動かせるようにアプローチします。
寝違えの症状が改善しないという方にもおすすめです。

●捻挫

鍼で筋緊張を緩和して、血行が促進されると、身体に栄養が行きわたる効果が期待できます。
栄養が行きわたると、組織の修復が促されるため、捻挫といったケガの早期回復につながります。

 

【お灸で改善が期待できる症状】

●慢性症状

お灸の施術は、肩こりや腰痛などの慢性痛にお悩みの方に行うことが多いとされます。
お灸は、身体の内側まで温め、筋肉の緊張をほぐしながら血行を促します。
そのため、筋肉の緊張や血行不良が原因で生じていた慢性痛の緩和・解消が期待できます。

●急性症状

急性症状とは、捻挫や寝違えなどの症状で、炎症による腫れや熱感が生じるものです。
お灸は温めることで血行を促し、腫れ部分にある水分を引かせて、腫れや熱感を取り除く効果が期待できます。